鮎は「香魚」と言われ、身に微妙な苦みをもち、特に内臓には特有の香りがあります。鮎の一生はまだ解明されてはいないそうですが、一年の命しかない鮎は「年魚」とも呼ばれます。鮎は、姿、味、香りの良いところから「川魚の王様」と言われています。栄養的には、内臓はビタミンAの宝庫で、鉄、亜鉛、銅、マンガン等のミネラルを沢山含むそうです。
比較的淡泊な味の鮎はひれに化粧塩をした塩焼きが一番です。特に脂の乗った時期の鮎の香りを最大限楽しむためには、塩以外の味を添加する必要はありません。そして焼き上がった新鮮な鮎はヒレを全て取り、尾ひれは付け根で骨を折って、腹を下向きにして上から丁寧に押しつぶすように身をほぐすと、えらの下側をちょっと切るようにしてから頭を引き抜くことで、全ての骨が頭と共に抜きとる事が出来ます。
この骨の抜き方も狩野川の料亭で教えていただいたものです。この食べ方は養殖の鮎では全く出来ません。ほくほくの身はしっかりして、骨も強い天然ならではの食べ方です。引き抜いた鮎に「蓼酢」をたっぷりかけて、頭の方からかぶりつくように食べるのが最高の味わいです。
一口かぶりつくと柔らかな塩の味と共にアツアツでほっくりとした身が口の中にひろがります。鮎は皮にも特有の香りがあり、噛みしめるほどに香りが広がります。これが、炊きたて、ほかほかのご飯と最高の相性なのです。次に口にする内臓はほのかな苦みがありますが、蓼酢の香りと酸味が交わりとても良い相性です。蓼にも苦みがあるのにこの鮎との相性は何なのでしょう。蓼酢は鮎料理以外にはほとんど登場しないのも不思議です。もし、塩が薄いと感じたらヒレについた化粧塩をかけた蓼酢に溶かします。
さて、店の名を明かしていませんが残念ながらこの店はなくなってしまいました。こういう贅沢なお店はなかなか存続するのは難しいのでしょうか。私達が入った時にも流行っているとは言い難い昼食時の客の数。つぎに行った時はちょっとサービスも変わっていたのです。残念ですね。
鮎は塩焼きが最高ですが、燻製も美味しいのです。この燻製も狩野川沿いのお土産屋で知る事が出来ました。ほとんど他では見る事がないのですが、開いた鮎を塩漬けにして燻煙してある物で、真空パックして冷凍してあります。頭もついているのですがとても上手に燻煙してある物で頭も中骨もそのまま食べる事が出来ます。さっと炙った鮎に蓼酢をかけて頂きますが、脂ののった鮎は特有の香りも高く、ご飯でも日本酒でも進む事、進む事。
つづき
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by hal_lohas
| 2008-07-17 10:03
| スローフード